医系大受験前にこれだけは知っておこう(6)

2025年は、「本格的な超高齢化社会の始まる年」
日本の医学界は全力をあげて、その対策に取り組む必要が!!

これから医歯薬系の学部に進学する人たちが、卒業後にそれぞれの国家試験に合格して、医療の現場に進出した時、まず直面するのが「2025年問題」であるという。そして、とくに医学部の学生に期待されるのは「レベルの高い総合医になって、地域医療に貢献することだ」とも言われているので、この問題をめぐる動きをまとめてみた。

(6)超高齢化社会で必要とされる総合的な医療ができるジェネラリスト

医学会はこれまで、医学が進歩・発展するにつれて、専門分野が消化器、呼吸器、循環器、腎臓、肝臓、アレルギーなどと細分化され、心臓外科や臓器移植などの難しい手術をする専門医が、華やかな存在として注目されてきた。それは医学と医療を進歩・発展させるうえで、必要不可欠のものだったともいえるだろう。

しかし、社会が超高齢化したいま、地域の健康を守るうえで必要とされるのは、そのように狭い分野のスペシャリストではなく、「臓器横断的な視点を持ち、幅広く総合的な医療ができるジェネラリスト」なのである。

だから医学教学白書 (2010年版) でも 「日本の医学教育の課題と展望」として、総合診療教育と地域立脚型医学教育の項目を設け、早くから次のように提言していた。

「さまざまな健康問題を的確に診断するには、幅広い臨床的知識と論理的に情報を整理していく能力 (臨床推論能力) が必須であり、ここに総合専門診療医ならではの価値がある。また的確な診療のみならず、患者中心の治療・アドバイスを展開するためには、患者の精神・心理状態や社会的背景をも考慮しながらアプローチすることが必要であり、これも総合診療専門医の真骨頂である。医師不足の解消を含め、日本の医療をよくするためには、総合診療部門を大学に確保して、診療だけではなく、教育・研究にも参加させるべきだろう」

「大学病院だけで臨床医学を学んでいると、地域医療における保健活動の実践や、福祉との連携などの姿が、ほとんど見えてこない。これまで地域の第一線で診療の従事する医師 (特に診療所の医師) が、医学教育にはほとんど関わる機会を持たなかったのは、学習者にとっても地域医療に従事する医師にとっても不幸なことだった。大学と都道府県が連携して、地域・僻地を学習の場として組み込む工夫をすることが望まれる」

とくに後者については最近の医学部入試に「地域枠」や「県内枠」が設けられ、卒業後は地元の医療機関に勤務することを条件にして、入学する者が増えている。卒業後の進路が制約されるかわり、在学中の学費や生活費が地元の自治体から支給されるケースが多いので、それを利用する医学部進学も魅力ある進路選択ではなかろうか。

―「医系大受験前にこれだけは知っておこう!!(7)」をお楽しみに!

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医系大受験前にこれだけは知っておこう(5)

2025年は、「本格的な超高齢化社会の始まる年」
日本の医学界は全力をあげて、その対策に取り組む必要が!!

これから医歯薬系の学部に進学する人たちが、卒業後にそれぞれの国家試験に合格して、医療の現場に進出した時、まず直面するのが「2025年問題」であるという。そして、とくに医学部の学生に期待されるのは「レベルの高い総合医になって、地域医療に貢献することだ」とも言われているので、この問題をめぐる動きをまとめてみた。

(5)「基本領域専門医」の中に総合診療科を設置

そのため、厚生労働省でも今年の3月「専門医在り方検討会」に提出した最終的な報告書案に、総合的な診療能力を有する医師の名称を「総合診療医」と名づけ、その専門医である「総合診療専門医」を基本領域の専門医の一つとして位置づける ― ということを明記。「基本領域専門医」の中に、内科や皮膚科、外科、脳神経外科、産婦人科、小児科、耳鼻咽喉科、眼科、泌尿器科などと並んで、総合診療科を設置した。

現在はまだ、他の専門医や既存の開業医との関係をどうするか、総合診療専門医の養成プログラムを誰が創るかなど、具体的なことは決まっていないが、「総合医を育て地域住民の安心を守る会」の福井次矢会長(聖路加国際病院長)は報告書案を高く評価して次のように語っている。

「今回の報告書案では、領域別・臓器別の専門医が <深さ> を特徴とするのに対して、総合診療専門医は <扱う問題の広さと多様性> が特徴と明記され、<深さ> が特徴であろうと <広さ> が特徴であろうと、時間と労力をかけたトレーニングをして、しっかりと身につけたものが <専門性> であるとされたわけで、これは大変よかったと思います」(「日本医事新報」3月30日号)

そして総合医とは、どのような医師のことかというイメージについて、福井院長は次のように定義している。「頻度の高い疾病と障害や、それらの予防と保険、福祉など、健康に関わる幅広い問題について、我が国の医療体制の中で、適切な初期対応と必要に応じた継続医療を全人的視野から提供できる医師」。

ここで「適切な初期対応と必要に応じた継続医療を、全人的視野から提供できる」というのは、①特定の臓器や疾患に限定されない幅広い医学知識を持ち、②患者のどのような訴えにも耳を傾けて診察し、③専門医の紹介すべき患者と、自分自身が引き続き診療すべき患者との判断ができたうえ、④心身面のみでなく、心理社会的側面や予防医療的側面へも配慮できる ― という能力のことだと福井院長は補足している。

そして総合医を養成するための研修プログラムは、プライマリ・ケア連合学会はもとより、内科学会や外科学会、小児科学会、救急医学会など、さまざまな分野の専門医が協力して作成することになっているので、そうした分野の基本的で高度な医学知識と技能が、しっかりと盛り込まれることになるだろう。かなり高い能力が求められているわけだ。

―「医系大受験前にこれだけは知っておこう!!(6)」をお楽しみに!

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医系大受験前にこれだけは知っておこう(4)

2025年は、「本格的な超高齢化社会の始まる年」
日本の医学界は全力をあげて、その対策に取り組む必要が!!

これから医歯薬系の学部に進学する人たちが、卒業後にそれぞれの国家試験に合格して、医療の現場に進出した時、まず直面するのが「2025年問題」であるという。そして、とくに医学部の学生に期待されるのは「レベルの高い総合医になって、地域医療に貢献することだ」とも言われているので、この問題をめぐる動きをまとめてみた。

(4)効果的な解決策として提起される「在宅医療とケア体制」の整備・充実

このように深刻な状況なので、日本の医療関係者が「2025年問題」に強い危機感を表明しているわけだが、そこで効果的な解決策として提起されているが「在宅医療とケア体制」の整備・充実である。それも「病院がいっぱいだから在宅へ」というような消極的な理由からではなく、もっと積極的に「人生の終末を住み慣れた自宅で、親しい人たちに囲まれて過ごした方が幸せである」と思えるような、新しい在宅医療とケアの体制を確立するべきだ ― と、産業医科大学・公衆衛生学教室の松田晋哉教授も次のように語っている。

「高齢・多死社会を迎えた、これからの日本人は好むと好まざるとにかかわらず、終末の一時期を在宅で過ごすことが多くなるはずですが、そうすると、いままでの <診療所からの往診による在宅医療> ではなく、 <入院医療の延長としての在宅医療> という考え方が必要だと思います。病院ならば、最前線にいる看護師がナースコールで異常に気づき、必要な場合は医師を呼びますが、入院医療の延長としての在宅医療でも、地域全体を病棟とみなした24時間体制で、訪問看護師が救急・終末に対応できるようにするわけです」

そこでは看護師の役割が非常に重要になるわけだが、地域医療や在宅医療では「看護師その他の医療スタッフと診療所の医師との緊密な連携が欠かせない」といわれている。そして医師のほうも従来型の内科や外科、小児科、耳鼻咽喉科、皮膚科、眼科などの開業医では、終末期を迎えた高齢患者の在宅医療に対応しきれないだろう。

だから最近は、「臓器横断的な視点を持ち、幅広く総合的な医療ができるジェネラリスト」が各地で求められ始めている。

―「医系大受験前にこれだけは知っておこう!!(5)」をお楽しみに!

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