医学部受験を完勝するために(6)

2014年8月19日

その6:小学校時代に何をしておくべきか(その6)

(1)理科・社会に多い勉強上の問題点

前回、私は基礎工事としての読書習慣が一応できているという前提で、保護者の方や生徒諸君に対して、試験としての国語の設問で正答を得るため読解力の養成法に関して説明いたしました。これは模試や本番の入試に勝つためのきわめて実戦的な方法であり、医学部受験を成功させるための、小学生時代からの大切な準備の一つです。それでは、今回もまた医学部受験を完勝するために、小学生時代から何をやっておくべきかに関して述べてまいります。そこで今回は理科・社会にスポットを当て、塾等で得た知識を確実に定着させ、関連する知識を有機的に繋ぐための方法について説明いたします。

ところで、私は長年医学部入試をターゲットとして私立入試対策を指導してきた際、特に暗記の多い理科・社会において、次のような勉強上の問題点を訴える保護者や生徒諸君の多いことに驚かされました。

①知識や情報はたくさん持っているが、それらがバラバラで相互の繋がりに欠けている。そのため、設問の形式が変わると答えられない。つまり、応用力が働かない。

②せっかく暗記したのに、他の内容を学習した後で確認してみると、その半分以上は忘れている。もしくは、前後の学習内容がごっちゃになっていて区別がつかなくなっている。

③単元ごとの小テストには強いにもかかわらず、模試等の総合問題では満足な点数が得られない。つまり、「よく理解できている」と思っているはずなのに、「テストに弱い」というタイプになってしまっている。

④写真・図表を使った問題では数値的な読み取りはできるのに、覚えた知識を使えば正答を得られるはずの問題に対応できない。つまり、「なぜ、このようなグラフ上の変化が生じるのか」タイプの問題では、基本的な知識を援用すれば解答できるはずであるが、記憶の中のどの情報を使えばよいかが判断できないのである。

⑤正誤判断の問題では、どこに誤りがあるのかの識別に困る。そのため、すべての選択肢が正しいのように感じてしまう。

⑥記述式の問題では、いったいどう書けばよいのかがわからず、最初から諦めてしまう。特に、原因や理由を説明する記述問題にはまったく手が出ない。

(2)学習内容における基本内容を忘れやすい理科・社会

以上のような状況に、保護者の方は気づかれたことはないでしょうか。また、生徒諸君は模試等で、こんな状態に陥ったことはないでしょうか。これらの問題点は、実は非常に基本的な“何か”が学習の過程において欠落しているところに起因しています。では、その“何か”について次に考えていきましょう。

私は、これに関して「基本的な」という表現を用いました。この表現には、二つの意味があります。その第一は、学習内容におけるレベル上の基本です。その第二は、学習方法上における基本です。それでは、この二点について順次説明していきましょう。

まず、第一の基本について説明してまいります。生徒諸君は、将来医学部に入学するためには難関といわれる私立中学入試に合格を果たさなければならないと考え、日夜勉強に励んでいることと思います。それは当然のことであり、保護者の方も必死になって応援してくれているでしょう。ところで、その際の勉強法ですが、塾や家庭教師から高度な問題の解法を常に学んでいて、基本的な学習内容に対して省みることが少なくなっていないでしょうか。また、塾や家庭教師からの宿題に日々追われ、とにかく与えられた課題だけをこなす毎日になっていないでしょうか。むろん、医学部に照準を合わせた有名私立中学合格を狙うのであれば、ほとんどの生徒諸君がこのような日常を送っていることは想像に難くないでしょう。

しかしながら、ここで一考を要するのは、ありきたりの表現で恐縮ですが「基本の確認」は大丈夫か、という点です。各教科の学習では、最初に基本的な内容を学び、それを土台として高度で発展的な内容に近づいていきます。このことについては至極当たり前であるにもかかわらず、特に理科と社会については忘れがちになっていないでしょうか。

例えば、算数の場合では四則計算という基本ができて、その上に高度で発展的な学習内容を学びます。四則計算ができてこそ、様々な文章題も学ぶことが可能になるのです。したがって算数の場合では、四則計算という基本の重要性が常に意識されます。せっかく式が立てられたのに計算ミスをしてしまっては、それこそ元も子もないからです。

それに対して、理科や社会ではかなり事情が変わってきます。それは、この二教科では各単元の独立性が高く、生徒の立場から見れば関連性があまり見出せないように見えるからです。例えば社会における地理的分野においても、「東北地方」と「日本の貿易」ではまるで別教科のようなイメージで捉えている生徒諸君も多いのではないでしょうか。本当は日本地理という共通項で繋がっている姿が学習内容におけるレベル上の基本であるにもかかわらず、個々バラバラの知識として生徒諸君が記憶してしまうケースが多いため、地理的分野の総合問題が出題されると、頭の中がごっちゃになってしまいます。

これは別に塾や家庭教師の指導に問題があるのではなく、多分に時間的な問題であると、私は考えます。なぜならば、私立中学受験という場合、その受験対策としては算数あるいは国語に重点が置かれるからです。この現実に関しては、保護者の方や生徒諸君の理科・社会に対する気の入れ方、注力の度合いを考えれば誰もが納得するでしょう。否、ここで理科と社会を同列に論じるのは間違っているかもしれません。医学部を目指す生徒諸君は当然のことながら理系志望ですから、理科についてはまだ低学年の時点での興味・関心は高いようです。ところが、社会については後回しにしてしまいがちです。そうなってきますと、社会については先送りとならざるをえず、小学校6年生時点で慌てて対応するというケースも稀ではありません。つまり、もはや時間がないのです。

いずれにしても、算数・国語が主であり理科・社会が従となっている構図では、前述の①~⑥のような問題が生じてしまうのも無理からぬことです。すなわち、学習内容におけるレベル上の基本を確認するような暇は理科・社会にはありません。では、このような問題に対しては、どのような解決策があるのでしょうか。

(3)テキストの精読を早い時点から行う

そこで第二の、学習方法上における基本について説明いたします。その方法上における基本とは、早い時点からのテキストの精読です。塾等で配布されているテキストを熟読玩味することです。一般に精読といえば国語の勉強を想起しますが、私は理科・社会の入試対策としても有用であると思っています。否、むしろ多くの知識を要求される理科・社会であればこそ、「読む」行為は非常に重要であると考えています。しかし、理科・社会の精読では国語のそれとは少し異なります。それは、次の三点に留意しつつ読み進めていきます。

①語句の意味や写真・図表の特徴などに注意する。また、必要に応じてアンダーラインを引く。(重点把握として特に大事)

②全体の繋がりや流れを把握することを重視する。(その分野や単元における前後の関連や、全体の中の位置づけが大事)

③理解の不確かな分野や単元を見つける。特に、塾や家庭教師の授業において注意された箇所や、太文字になっている語句には気をつける。(語句の正確な意味を再確認することが大事)

この精読を行うことで、前記①~⑥の問題解決を含めた次のような効果が期待できます。

①個々バラバラの知識や情報の関連が理解できるので、設問の形式が変わっても対応できる応用力が身につく。

②しっかりと読むことで分野や単元を全体的に捉えられるので、知識が整理される。

③読みながら理解のあやふやな分野や単元を発見できるので、苦手なところを補強しやすい。

④写真・図表には本文等での説明が書かれているはずなので、文字だけではない勉強もでき、かつ写真・図表を使った問題にも強くなる。

⑤文章としてテキストを読むので、正誤判断の問題を読み解く場合の読解力が養われる。

⑥テキストの文章における教科独特の言い回しを覚えられるので、記述式の問題への対応の際にも書き方として援用できる。

以上のように、学習方法上における基本としてのテキストの精読には、数々の効果が期待できるのです。ただし、このような精読は、小学校6年生ではもう遅いでしょう。6年生となれば、志望校の過去問や類似問題を数多く演習しなければならないからです。したがって、これは4年生ぐらいからの早い時点で始めてほしい学習です。生徒諸君にとっては、塾等での勉強に加え宿題もこなさねばならず、テキストの精読までしなければならないと思うかもしれません。が、医学部という難関を狙うのであれば、今できることはすべてやりきっていく行動力が大切であると私は強く思います。

以上、今回は特に理科と社会に絞ってテキストの精読に関して説明いたしました。それでは、次回はまた別の観点から、医学部受験を完勝するためのポイントについて解説していきます。 

カテゴリー:医学部受験のツボ

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