医系大受験前にこれだけは知っておこう(3)

2013年7月29日

2025年は、「本格的な超高齢化社会の始まる年」
日本の医学界は全力をあげて、その対策に取り組む必要が!!

これから医歯薬系の学部に進学する人たちが、卒業後にそれぞれの国家試験に合格して、医療の現場に進出した時、まず直面するのが「2025年問題」であるという。そして、とくに医学部の学生に期待されるのは「レベルの高い総合医になって、地域医療に貢献することだ」とも言われているので、この問題をめぐる動きをまとめてみた。

(3)病院は、健康を回復させる場所から「看とりの医療」を行う場所に

団塊の世代が後期高齢者になる2025年ころから外来患者は少しずつ減り始めるのに、入院患者はさらに5年ほど先まで増え続けるわけだが、その理由として考えられているのが「高齢者の体力が弱まり、病院に通院できなくなる」ということである。つまり、外来患者が減る分だけ、入院患者が増えると、推計されているわけだ。

しかし、そこで注意する必要があるのは、先に示した数値が「入院患者の増加に伴って、入院医療の受け皿も大きくなる」という前提のもとに推計されていることであって、実際のところはそうではない。「現実的には、入院医療の供給体制が現在より拡充される可能性が低いので、このままでは <病院に通うこともできず、入院もできない患者> が激増する事になる」と、高齢社会総合研究機構のスタッフも次のように指摘している。

「そのための対策として、虚弱高齢者が外来通院するための移動手段を確保する方策を確立すると共に、在宅医療・ケアの体制を整備する必要がある。これが実現されないと、入院医療体制を崩壊に追い込むような、切迫した事態になると言っても過言ではないだろう」

さらに、この入院医療を困難な状況に追い込んでいる要因がもうひとつあって、それは、「病院で死亡する人が激増したこと」である。厚生労働省大臣官房・統計情報部の「人口動態統計」によると、60年ほど前(1951年)には病院で死亡する人が死亡者全体の9.1%にすぎず、自宅で死亡する人(82.5%)が圧倒的に多かったそうだ。

ところが、その比率が1975年ころに逆転し、最近は「病院で死亡する人」が80%近くまで増加している。かつての病院は急性期の患者を治療して健康を回復させる場所だったのに、最近は人生の終末を迎える人たちのために「看とりの医療」を行う場所になってしまったのである。

しかも国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、その死亡者数が昭和時代には年間70万人くらいだったのに、平成時代を迎えてから100万人を超えるようになり、問題の2025年には150万人を上回るものと予想されている。(最盛期の2045年には160万を超えるという)

これほどまでに増加する死亡者の80%が、もし病院で終末を迎えることになると、どこの病院でも入院患者用の病床が足りなくなり、働き盛りの成人や小児の急性期医療に、支障をきたすことになりかねまい。(厚生労働省の医療施設調査では、2011年の病床数は全国で171.2万である)

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医系大受験前にこれだけは知っておこう(2)

2013年7月26日

2025年は、「本格的な超高齢化社会の始まる年」
日本の医学界は全力をあげて、その対策に取り組む必要が!!

これから医歯薬系の学部に進学する人たちが、卒業後にそれぞれの国家試験に合格して、医療の現場に進出した時、まず直面するのが「2025年問題」であるという。そして、とくに医学部の学生に期待されるのは「レベルの高い総合医になって、地域医療に貢献することだ」とも言われているので、この問題をめぐる動きをまとめてみた。

(2)増加する高齢の患者に医療体制はどう対応するか

日本の医学界では「2025年問題」への危機感が高まっているわけだが、その大きな理由は他でもない。

高齢者の中には糖尿病や高血圧、心臓病など、複数の疾患を持つ人が多いので、高齢者が増加するのに伴って患者数が激増し、現在の医療体制では対応しきれなくなる恐れがあるからだ。

だから高齢社会総合研究機構の研究スタッフも「増加する高齢の患者に、どのように対応するかという点を、あらためて考え直すことが急務である」と、次のような興味深い数値を示している。

外来患者数 入院患者数
2010年 684.8万人 142.2万人
2015年 705.6万人 152.9万人
2020年 714.9万人 161.6万人
2025年 715.8万人 170.4万人
2030年 710.4万人 173.1万人
2035年 697.2万人 170.9万人

これは日本政策銀行「病院業界事情ハンドブック・2010年版」をもとに作成されたものだが、それによると外来患者は2025年をピークにして減少するのに対し、入院患者は2030年ころまで増え続けることが分かる。そして、この入院患者の増加こそが深刻な問題なのだという。

―「医系大受験前にこれだけは知っておこう!!(3)」をお楽しみに!

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医系大受験前にこれだけは知っておこう(1)

2013年7月22日

2025年は、「本格的な超高齢化社会の始まる年」
日本の医学界は全力をあげて、その対策に取り組む必要が!!

これから医歯薬系の学部に進学する人たちが、卒業後にそれぞれの国家試験に合格して、医療の現場に進出した時、まず直面するのが「2025年問題」であるという。そして、とくに医学部の学生に期待されるのは「レベルの高い総合医になって、地域医療に貢献することだ」とも言われているので、この問題をめぐる動きをまとめてみた。

(1)医学界新聞でも特集を組んだ「2025年問題」

「2025年問題」については医学生や研修医に読まれている医学界新聞でも、今年の初めに「2025年の医療と介護 ― 地域包括ケアの未来へ」という特集をしたほどだが、それを監修した東京大学・高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授によると「日本の総人口は、21世紀を迎えたころから減少してきたのに、75歳以上の後期高齢者は増加を続け、あの団塊の世代が後期高齢者になる2025年には、総人口の20%近くに達する」という。

医学界では65歳以上の人を高齢者と呼び、さらに75歳以上を後期高齢者としているが、その後期高齢者の数が2010年にはまだ1407万人(総人口の11.0%)だったのに、20年には1879万人(同15.1%)に増え、30年には2278万人(同19.5%)になると予想されているのである。

だからこそ東京大学・高齢社会総合研究機構の研究スタッフも、人数の多い団塊の世代(1947年から49年に生まれた人たち)が後期高齢者の仲間入りをする2025年を「本格的な超高齢化社会の始まる年」と位置づけ、「日本の医学界が全力をあげて、その対策に乗り出す必要がある」と呼びかけているのだろう。

しかも注目されるのは、その2025年が「超高齢化社会の山場ではなく、入口にすぎない」ということで、同機構の研究スタッフも次のように指摘している。

「生産年齢人口の減少を含めた総人口が減少するなかで、人口の高齢化が同時進行的に進展する2025年以降の数十年を、日本の医療体制はどのように乗りきっていけるのか。2025年はまさに超高齢化社会のスタート地点であり、今年はその手前の助走地点だと言えるであろう」

いま、医師薬系学部への進学をめざしている人たちは、その助走地点に立っているのだということを、しっかり認識しておく必要がありそうだ。

―「医系大受験前にこれだけは知っておこう!!(2)」をお楽しみに!

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